一挙2話掲載!これからはテンポよく掲載予定!
(世界大会前にReiの原稿はあがっていたのですが、PC故障などを挟み、原稿をコメントを入れる自分のところで止めていました、、、)
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2013年世界大会後:やらかしたーとしばらく意気消沈していましたが、いつまでも落ち込んでてもしょうがないので、帰国して次の週から練習を開始しました。
ですがただ闇雲に練習しても意味が無いし、ちゃんと場所を借りて練習できる時間は大体1週間で2時間程度しか無かったので、まずそもそもの練習方法を考えてました。でないと世界大会の二の舞になるのは明白だったので。
まず限られた2時間という時間をベースにいかに練習効率化を図るかを考え、時間を区切り、
①0-30min:1分予選の練習
②30-60min:3分の練習
③60min-90min:3分でミスが多かった技, 新技の練習
④90min-120min:3分の練習
というような大凡のスケジュールに沿って練習をするようにしました。(3分の構成がまだ決まってない状況の場合は、演技の作成や技の練習に当てたりしましたが。)
だらだら4時間やるよりも集中して2時間やった方が当然効果は上です。
もっと競技的に、スポーツ的にヨーヨーを捉えてみようと。
野球やサッカー等他のスポーツではメニューを組んで基礎練習から段々と練習内容をステップアップさせてく、っていう事が当たり前に、しかも小学校のクラブ活動ですら行っているのに、ある程度の業界規模があり、競技と銘打っているヨーヨーにはそのような「練習における競技性」がほぼ無かった事が、非常に自分にとって疑問でした。
また自分自身もそこまで練習に対して深く考えを持った事は無かったので、良い機会だと思い、色々と試行錯誤をしていました。あまり詳しくは無いのですが、野球やテニスだったら素振り、サッカーだったらパスの練習、みたいな基礎練がありますよね。それを自分におきかえると①の1分予選がその基礎連でした。予選なのでそこまで無理な技はしないし、体をほぐすのには丁度良い、しかも地区大会ではかならず必要になる演技だったので、やっといて損はないかなと思ってました。
スポーツ経験者だと普通にやってますが、確かに練習なのに“メニュー”がないのは疑問ですよね。上位入賞者だと体感的にやっている部分が多いと思いますがヨーヨーの練習方法を科学して、メニューを組んでいくことはパフォーマンスを劇的に向上させるひとつの手段だと思います。
人によってはノートをつけて、成功率や繰り返した回数などもつけている人も多いと思います。本番前に気持ちを落ち着かせるためのひとつの方法として、練習した成果をノートに“可視化”させることで、自分は十分に練習をした、という気持ちを再確認させる方法もあります。ノートを読んで落ち着かせるもよし、ノートの冊数で安心させるもよし。大会前に手っ取り早く緊張を解きたい人はぜひ試してみてください。アザーズにもヨーヨーノートは指導の一環でつけさせていました。
ヨーヨーを続ける環境を構築していく中で限りある資源をどう活用するか、社会人だとみんな直面している問題だと思います。時間という資源がなくなった分、練習環境を整えるノウハウや資金がでてきたりしてバランス取れているといえば取れていますが若いころのように無限に時間と体力があるわけではない中で、自分をいかに律してストイックに攻めるか。
大人が子供に勝てる武器、精神力と資金力で無限の体力と時間と勝負するというほかの競技でも見られる状況がようやく出てきたと思います。昔は子供が勝って当たり前で大人は子供に勝てないというのが通説だったので(大人で競技志向でやっている人がそもそもいなかった)。
次の壁は競技者の年齢が精神と体のバランスが取れる30前後がピークになるのか、40代になっても競技者として上位に残れるのかというところですね。10年後に結果を見れると思います。
この頃モチベーションを爆発的に上げるビデオが発表されましたフランスのジャグラーRobin Spinelliによるクリップビデオです。
自分がディアボロを過去かじっていただけに凄さがまじまじと伝わってきたのはもちろんでしたが、ディアボロ4つ、クラブ5本、ボール7個で、1A並みの密度でガシガシ技をやるジャンルがある時代に、自分の世界大会の構成/難易度程度を失敗したことでうじうじするなんて駄目だなと。そんなレベルの低い事してる場合じゃないなと、強く感じました。
と、同時に、逆にまだまだ自分の技術はとても低い次元にいるので、これからの延びしろがまだあるな、と感じれた良い機会でした。上手く表現できませんがふっきれた感じがしたんですよね。モチベーションが上がったし、練習が楽しくなりました。
ヨーヨーの世界の頂点であってもほかの世界から刺激を受けるとまだまだ、という気分にはなりますよね。新体操やフィギュア、シンクロナイズドスイミングの競技の世界の人たちの環境、練習方法などを知るとヨーヨーの世界はまだまだこれから(よい意味で)と気合が入ります。自分としては選手側ではなく、ヨーヨーを指導する側に回りますが、オリンピック競技のように競技だけに集中できる環境と練習メニューがあればもっとヨーヨーは発展していくと思います。そういう意味で社会人プロとして活動しているReiは先駆者としていろいろな道を開いていっていると思います。
それにしてもこのビデオやばいですね。やっている人に対するモチベーションを掻き立てる情熱が伝わります。
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2013年冬:
結構無茶な技や道具の扱いが増えてきたので、そろそろヨーヨーもなんとかしたいなぁと思いはじめていました。
・ある程度重い方が回転力はアップする
・自分の得意とするジャンル的には重いヨーヨーの方が安定する。
という理由から、鉛のシートをカットし、89gから、100gに重さをアップさせReXtreme2.0を使用し始めました。
実際やってみると予想以上に自分にあったフィーリングで驚きました。
特に4Aの特徴である空中から落ちてくるヨーヨーを多種多様な形でキャッチ⇒スローを繰り返す動作を行う際、重さによる安定感アップはオービット系で顕著にあらわれました。リジェネ/ボヨ系においても、著しくやりにくくなった事も感じず。
また何よりも今後伸ばしたい技術の一つであったソロハム系においては、従来よりも回転力と操作性が大幅にアップし、その後の技術向上にとって、非常に大きな影響をもたらしました。
そもそもソロハムを伸ばそうと思った理由ですが、大きく3つあります。
①自身のヨーヨーでの技や演技において目指したいコンセプトの一つである、予想外さ、奇抜さが多分に含れていたから。
②未開拓である分野で、可能性の大きさを感じたから。
③技術を「縦に伸ばす」方向性における一つの正解だと思ったから。
③について少し詳しく話すと、ジャグリングの分野では最もシンプルな技術向上の基準として、「個数が増える」事があります。しかしヨーヨーにおいてこのコンセプトはそれまであまり取り入れられていませんでした。
もちろん1Aや2Aで個数を増やすのは部門特性/制約上ちょっと違う気がしますが、5A, 4Aにおいては技術進化のひとつの正当なベクトルの一つだと思っています。5Aのダブルプロペラ、4Aのソロハムは存在してましたが、競技実用化はまだほぼされていないと個人的には感じていました。それまでの自分も含め、しっかりとした競技における武器としての使い方はまだされていないよなと。
公式大会のルールでは制約も多く、ミスをした時のリスクが非常に大きいことはもちろん理解していましたが、いずれにせよノーミスを目指せば良いだけの話なので、積極的に伸ばそうと思ったんです。世界大会後、ヨーヨーにおける技術を「縦に伸ばす」事をしたい/しなければならないと他業界の動画に衝撃を受けた事で感じた為、注力することにしました。
これは自分への戒めを含んでるんですが、ここのところ、ヨーヨーから技術的な予想外さ、トンデモなさ、が飛び出す割合が少し減ってる気がします。10年前、15年前は、そういった縦方向に突出したことによる驚き、が多かったのではないでしょうか。
「ムーンサルトが両手で出来るわけがない」
「ビハインドバックループを両手なんて意味不明」
「何その技、スーサイドキャッチ?そんなの成功するわけないじゃん」
そんな常識や懐疑をひっくり返すような事柄が、多くのトッププレーヤーやカリスマ達によってなされてきました。
もちろんその頃はヨーヨーの技術、業界、性能が発展途上の真っ只中だったことが何より大きいのは承知ですが、そのレベルの驚きを、まだまだ我々競技者は世に放たなければならないと強く感じます。
ぞっとする技術力、予想を覆される驚きは、やっぱり魅力的ですよ。わくわくするヨーヨー見たいし、やりたいですよね。
そういう事を考えてくと、ソロハムは魅力的な可能性のあるツールかなと思ってます。
そろはむを最初に開発して披露したのは1999年のハワイ大会のチームプレイ部門でしたがそのときはディアボロ技でしょ?見たいなかんじでそろはむはインパクトがそこまで無く、“流され”ました。チームプレイに注目度が低かったのと2Aが圧倒的な花形だったので自分の期待ほどそろはむは盛り上がっていなかったのを覚えています。
同時に5Aのスティーブがカウンターウェイトを披露していたり、4Aでみいくんがセンセイションを巻き起こしていたりとその後のX部門の走りになる出来事が起きた年でした。2000年のX部門でようやく評価されたそろはむですが、トリックのバリエーションが存在していても回収と投げなおしという問題を解決するに至らず、実用化に程遠かったです。AP部門用トリックのような発展をしていました。
そろはむ開発秘話は記憶が定かなうちにまとめておきたいと思いますが、そもそも1A部門で勝つために、人と違うことで単純にすごいこと、という意味で2つのヨーヨーを使ったらすごくない?というところから人に投げてもらってヨーヨーをまわす(ハムスター、TEC三居氏が富士ヨーにて披露したのが初見でした)ものを1人でまわせるようにするところまでがひとつの壁でした。ソロでやるハムスター=そろはむ(三居くん命名)です。技自体はだれでも思いつくものでしたがそれを形にした人がほかにいませんでした。
そろはむはその後、始動方法が確立してからはてりーやおにっきーなどのオフストリングのスタープレイヤーたちによるトリック開発もあり、世界大会で初めて3分間そろはむでプレイしたSKTこと坂田くんの登場にいたります。しかし彼が競技から退いてからはそろはむを“まじめに”競技でやろうとする人はいませんでした。そろはむをしてもほとんどが一発ねたの範疇を出ていませんでした。
3Aできむちゃんが優勝したときにこのペースでそろはむすれば実用化できるのかも?と衝撃を受けました。1技づつとめているイメージだった3Aが1Aのルーティンのような"流れ”に変わっていったからです。
なのでReiがそろはむを掘り起こして最初ねたでやっているのかと思ったらだんだんと難易度と時間を上げてそろはむパートが増えていき、どこまでやるんだろう?という驚きに変わっていきました。やるとわかっていても驚かすことができる実行力と練習量は圧巻です。
いろいろな制限と戦っていく中、時間や練習の質の確保ができ、モチベーションは十分というところで”ヨーヨー”という最後の壁が見えてきました。レクストリーム開発から数年経て、最新のトレンドを踏まえた競合機種が出揃いヨーヨーの技の可能性を広げていくかなで"旧機種”とも言えるレクストリームで戦い続けることに限界を感じていました、、、
旧機種という言い方をしましたがこの後の発展の仕方が特殊な発展をしたので現行の2.0は一般用途、この後の機種は岩倉玲専用機種として発展を遂げていきます。開発にいたる秘話は次回!
今回の話はヨーヨーがうまくなりたい皆さんもぜひ参考にしてみてください。自分の可能性をとめている制約は何か、それをどう解決するか、を分析しています。Reiの場合、限界は3つありました。時間、モチベーション、ヨーヨーという3つをすべて的確に乗り越えていっています。