火力少年王6~悠拳英雄

4からのおさらいはこちら

火力少年王各シリーズを一言でまとめていくと、

1 仮面ライダー風カット割り多用実写学園ドラマ

2 続編

3 続々編実写とアニメ並行。ここまでは大ヒット。

4 実写ダンスでヨーヨーしない

5 日本アニメでメガネっ娘やアンドロイドなど萌要素投入

6 ハズブロスタジオ製アメリカアニメ化、登場人物全員意地悪そう

7 製作中との噂

あらゆるパターンに進化してきた火力少年王。

海外版の6にあたるBlazingTeamsはアニメの出来が微妙で、海外ではヒットしませんでしたが中国では2017年10月から悠拳英雄編の放送が始まり、アニメの内容はともかく、キーリールのヨーヨーを振り回す子どもが中国全土に一定数発生しているのは事実です。日本のおもちゃ業界が97年ハイパーヨーヨーの残像にいまだとらわれて、ヨーヨーが売れているかどうかの基準を当時のブームと比較したがるのと同様、中国でも、3のときの爆裂ヒットが頭に焼き付いているようで、競業他社を含めたヨーヨー全体の市場が動いていますが、マーケットの反応としては”あまり売れていない”という反応。

それも其のはず、ヨーヨーを仕掛けてくると思っていた他社が全力でバインド機種を揃えたところにまさかのキーリール投入でヨーヨーは難しいという趣旨のプロモーションをローカルの問屋が仕掛けて他社のヨーヨーの売上を落とす作戦を仕掛ける人たちも登場。アウディがどこまで狙ってそれを仕掛けてきてるかわからないですが、意図的にヨーヨーの技術レベルが上がることを押さえてより多くの子どもがヨーイ、ドンでスタートを切れる戦略を取ってヨーヨー参入のハードルを下げたとは言えるかもしれません。ヨーヨーをあえて子供っぽくしたことでいわゆる競技者層とアウディのヨーヨーを差別化し、子どもたちがいきなり大会レベルの技を見て引くこと無く、アニメの世界の変身グッズの延長としてヨーヨーに馴染めるような超ゆとり仕様とも言えます。

子供向けのおもちゃはCMでこれをやってしまうと、子どもが買ってすぐに同じことをできないと楽しく感じない。というのが一つの結果だと思います。

若い子は早くて上手いと思うことを見せたがるけど、それは凄いとは思うかもしれないけど、見てる子どもたちは、意味分からないしやりたいとも思わない

(と昔のラッセルの日本チャンピオンにデモンストレーションをするときの注意として教えられたことがあります)。

この映像はディレクターが居て、其の人の言うとおりに作っているのでこの動画に出ている人たちに罪はありません。ショーとしてのパフォーマンスと、ヨーヨーを売るためのパフォーマンスは別物であるというのがラッセルチャンピオンの教えでした。(多分マニュアルに明文化されてるはず)。

ヨーヨーがかっこいいという大人の目線でヨーヨーを追いかけた結果、従来のヨーヨーマーケティングが行き詰まっている一つの例かと思います。大人のかっこいい(ヨーヨーやりたい)と子どものかっこいい(面白い)は違います。コカコーラのチャンピオンが技がすごかったというより、犬に噛まれたの演技が面白かったとか片言の日本語が、などヨーヨー以外の部分で印象に残っているのがいい例です。子どもたちの価値観の中でかっこいいと言う価値観はとても占める割合が低く、いまも昔も面白いという価値観のほうが重きを置いています。

ヨーヨーはかっこいいからやりたいでしょ?というのは大人の都合で、子どもたちはかっこよく生きることよりもクラスでいかに友達を笑わせるかに血肉を注いでいます。うんこドリルが売れ続けるのもそれなりの理由があります。

ブームで何が何だかわからないけど売れるというヨーヨーの特性上、ブームがないタイミングでマーケティングで仕掛けていき売れるというので成果を出しているのは中国と一部の東南アジアの国々だけです。それも膨大な費用を投じて。過去20年間、全世界で97年のハイパーヨーヨーブームよもう一度、と各社が仕掛けていきましたが、それを超えるヒットは生まれませんでした。

戦隊モノも仮面ライダーも変身はできないけどテレビと同じものが手に入って、子どもの想像力で補完して音がなったりギミックでごっこあそびができるおもちゃはいわゆる”売れるおもちゃ”です。子どもの成長にそれが必要かどうかはさておき、数字を求めた結果、1年間で賞味期限が切れる、少額で数をたくさん細かく集めて年末に大きなベルトやロボットで大口を回収するというパターンがおもちゃの方程式になり、業界を支えているのも事実です。ハズブロがヨーヨーをするにあたって、革新的なギミックで誰でもヨーヨーができるようになったというよりはアニメーションというコンテンツを通じてものを売るという目線で仕掛けていく上で、ヨーヨーの変身アイテム化は必須の選択肢でした。

子どものことを低く見るわけではないですがヨーヨーを始める前に挫けてしまってはないも始まらなくて、水ヨーヨーのように振り回すだけ、でもヨーヨーという名前のおもちゃに触れてできる気がする、かっこよくポーズを取って遊べる、というだけで玩具としては成立しています。あとはその子どもたちをリアルなヨーヨー世界にどうやって招き入れるか、だけ。

僕はヨーヨーができる。とまるで空を飛んだり火の中に飛び込んでも平気な変身ヒーローのように、ヨーヨーをあやつる主人公に感情移入させればこちらのもの。

えらく前置きが長くなってしまいましたがそれくらい前置かないと勘違いされかねない、ハンドスピナー的な気軽さで遊べるヨーヨーの入荷です。


前回はキーリールヨーヨーだったので仕入を見送りましたが、ついに進化版を発見。ヨーヨーに対する難しいという先入観やハードルの高さを払拭するヨーヨーを入荷しました!


合わせてキーリールヨーヨーも入荷。ブラインドボックスの何があたるかわからない仕様ですが、それも低単価ヨーヨーならではの楽しみ方で。


まさかのメタルキーリール。子どもたちはとにかくプラよりメタル。少しでも背伸びしたい年頃の子どもを狙い撃ち。


フルメタルも入荷。ガチモデルなのに普及価格。量産効果が遺憾なく発揮されてます。この恩恵に授かれる中国の子どもたちが幸せです。

中心のLEDやハブスタック遊びもさらに進化しそうです(パッケージ絵のみの確認ですが、ファン(扇風機)が付いているモデルが存在するようです)


当初、キーリールを見たときの中国のヨーヨープレイヤーたちの目は冷めていました。しかし企業として、ビジネスをしていく上で、市場に新商品を投入していく上での”新しい価値の提供”とそれにともなっての”売上の確保”は必須項目です。ヨーヨーではないものをヨーヨーというのは抵抗があったようです。いくらヨーヨーが好きでも売れない状況にただヨーヨー愛を叫ぶのは愛好家がすることであって商売をしている人がすることではありません。あえて一度ハードルを下げてヨーヨーを貶めるように見えることをしたかもしれませんが、結果、ヨーヨーマーケティングの戦略上、必要といえる過程で、より多くの人がヨーヨーを始めるきっかけを作れたのだとしたらそれはヨーヨー愛好家の人にとっても幸せであるはずです。ハズブロが作った各国で失敗した微妙なアニメをコンテンツとして上から与えられ、それでヨーヨーを売らないといけないという命題を担当が奮起してマーケティングでカバーするという火力少年王担当の底力を見た気がします。アニメはなんでもよくて売り方と製品がヨーヨー市場の全てを決める。と言っていた言葉を実現しつつあるようです。なんだかんだ一番ヨーヨーのことだけを考えている人が根底にいると感じられる火力少年王のプロモーションです。


その他時空を超えた入荷(いずれも問屋で眠っていた新品です)

2014年より

2011年より