Mono 52mm開発ストーリー【At Design Lab】

独特なコンセプトとこだわりの表面処理でおなじみとなった「At design Lab」より、MoNoシリーズのラストを飾る4作目のMono 52mmが6/30(金)よりスピンギアで販売開始!

今回もオーナー様より、その開発ストーリーをご紹介いただきました。

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シリーズはこれにて完結とのことですが、次回作の予告もあるのでぜひ最後までチェックしてみてください!


■Monoとは?

Monoは、XSサイズ 50mmから Lサイズ 56mmまでラインナップされているMoNoシリーズにおけるSサイズ 52mmのモデル。

「This is it」をコンセプトに、MoNoシリーズで最も高い完成度を達成することを目標に、開発をスタートしました。MoNoシリーズの最後の作品として、ここまでの3作品の知見を52mmに落とし込んでいます。

54mmのMoNoが持つバランスの良さを引き継ぎつつ、50mmのmonoが持つ心地よさの融合。まさに54mmと50mmの良いところ取り、という完成度が高いヨーヨーに仕上がっています。

 

■NIGHT MOVES

Monoの設計を進める上で、単にMoNoとmonoの中間サイズにするだけでは面白くありません。Monoは、YoYoJam Night Moves 5のシェイプを参考に開発を進めていきました。

YoYoJamのNight Movesシリーズは、ブランドにおけるフラッグシップモデルのシリーズ。Night Moves 5はシリーズ初のフルメタルかつバイメタルで、52mmの小ぶりなボディーが特徴的です。バイメタル構造 × 69g台のしっかりとした回転力を持ちながら、52mm × ハイウォールのデザインで動かしやすさを維持しています。

52〜53mmのサイズ帯は、一昔前の標準的なサイズ。当時を振り返ってみると、初の国産ヨーヨーブランド2社のデビュー作もこのサイズ帯だったことが印象的でした。

 

■MONO 設計思想

Monoのコンセプトは「This is it」。日本語に直訳すると「これはそれです」になりますが、ここでの意訳は「まさにこれ!」「これで終わり」となります。

MoNoシリーズの最後の作品にふさわしい完成度の高さを目指しました。もちろん、MONOで追求してきた「柔らかさを超えた、上品な使い心地」というコンセプトも引き継いでいます。

Monoはシリーズに共通する柔らかい使い心地をさらに高め、柔らかさを超えた上品な使い心地を52mmの小さなボディーで表現しました。去年の夏、デザイナーとmono 50mmの設計を進めている時、チームで感じていたことは「このベースデザインを、52mmで作ったら完成度が圧倒的に高いはず」でした。

MoNoシリーズは、計算によって導いた理論値(寸法/比率など)で作られたベースデザインを、各サイズに落とし込む設計方法で進めました。各サイズへの落とし込みの中で、どうしてもその理論値から逸脱しなければなりません。

わかりやすい例だと、50mmはベース設計のままだと60gを切ってしまうため、リムへの重量配分を増やしています。もちろん、使いやすいヨーヨーを作るためには正しい作業です。一方、ベースの理論値をそのまま落とし込んだら、デザイン図面として美しいだけでなく、その美しさが機能美として使い心地に現れるはず。というのが当時の仮説でした。

サンプリングしたNight Moves 5のシェイプを参考にしながら、MoNoシリーズのベースデザインを52mmに落とし込んでいきました。

直径はMoNo(54.5mm)とmono(50.3mm)の中間である52.5mm。幅は縦横比のバランスを考えて41mm。エッジについては、ベースデザインを踏襲してやや高めの設定です。

MoNoシリーズ共通のグルーブが、スリープロスを最小化しながら、ハイウォールの独特なフィーリングや動かしやすさを維持しています。当初の予想通り、ベースデザインが52mmへスムーズに落とし込まれました。細かな部分の寸法は微修正をしましたが、主要な寸法や形状はベースデザインそのままです。

MoNoとmonoの中間に位置するサイズですが、monoにMoNoの安定感を与えることで、痒いところに手が届くバランスに仕上げることを意識しました。

50mmのmonoは、実重量を軽くしつつも最低限の回転力を確保するために、効率的な重量配分に苦戦しました。重量ターゲットは63.5gに設定し、MoNoの安定感とmonoの動かしやすさが同居するようなバランスで重量配分をしていきました。

52mmで十分な回転力を持たせようと思うと、どうしても実重量を上げざるをえません。その結果、回るようにはなったけれど、少し詰まったような使い心地になり、快適さが失われることがあります。MoNoシリーズのフラットリムデザインは効率的に外周部へ重量を配置できるため、快適さを残しながら最低限の回転力を維持できるデザインです。mono 50mmは回転力を上げることに苦戦し、MONO 56mmは動かしやすさを維持することに苦戦しましたが、52mmはこれらをバランスよく落とし込むことができました。そして、出来上がった図面で、A6061材質での試作へと移りました。

 

■1st Prototype

  • Diameter 52.5mm
  • Width 41 mm
  • Weight 63.5g
  • Raw

様々な事情でRawによる試作になりました。Smooth Ultimatte CoatingのかかっていないヨーヨーはMoNo 54mm 1st prototype以来で、新鮮な振り心地だったのをよく覚えています。Rawの仕上げということもあり、試作ではヨーヨーの回転力、動かしやすさ、重量感、それらのバランスを確認することに留めました。

52mmにしてはしっかりとした安定感があり、動かしやすさも維持されていました。このデザインのまま製品化をしてもいいぐらいの出来でした。一方、63.5gと軽い重量でも十分すぎる安定感と回転力がありました。いわばMoNo寄りの味付けでした。

チームで議論を重ねましたが、使い心地の上で目指していた「柔らかさを超えた、上品な振り心地」を振り返ったとき、もう少しmonoに寄せた方がより近くなるという結論に至りました。デザイナーに回転力と動かしやすさのバランスを再調整してもらい、直径/幅はそのままで63.5gから62.5gに変更し、製品版の制作へと踏み切りました。

 

■Production

  • Diameter 52.5mm
  • Width 41 mm
  • Weight 62.5g
  • Coating Smooth Ultimatte Coating

「まさにこれ!いいね!」というのがファーストスローの感想でした。MoNoシリーズの最後を飾るに相応しく、完成度の高いヨーヨーになりました。

52mmらしさを裏切らない動かしやすさと回転力のバランス。どこか懐かしいハイウォールの振り心地に、Smooth Ultimatte Coatingが上品さを与えています。Direct storeで購入されたみなさまからは「MoNoシリーズで一番バランスがよくて使いやすい、ずっと振っていられる」と嬉しいお声も頂いております。

 

■カラーリング

今回もMONOで開発したシルバーとスターライトのハーフカラーで仕上げています。使い込んだAnti-yoのEetsitをオマージュしたカラーリングで、メンバー全員が大好きな52mmのヨーヨーとして採用致しました。

MoNoシリーズ4品を並べた際、スペースグレイとスターライトが交互に並ぶため、容易に識別ができるようなカラーリングラインナップとなりました。


■最後に

2022年2月のMoNo発売から1年半近くかけて、MoNoシリーズを完結させることができました。無事に完結できたのも、みなさまの応援のお陰です。この場を借りて感謝を申し上げます。

MoNoシリーズは名前の通り「単一の」というテーマで、1つのベースデザインをXSサイズからLサイズまで展開することで「サイズの違いを楽しむ」という新しいヨーヨーの楽しみ方をご提案しました。

次回作のZeroシリーズでは、このコンセプトも引き継ぎながら「私達にとっての普通のヨーヨー」を定義していきます。色々なヨーヨーの使い心地を測るときの、”ものさしの0(ゼロ)”になるようなヨーヨーを創っていきます。

また、8/2〜8/31の期間限定で、LAFORET 原宿にてポップアップを予定しております。限定品も多数準備しておりますので、ぜひ我々のインスタグラムのアカウントをフォローして、最新情報をチェックしてください。