ボーダレスを使ったフリースタイル

ヨーヨーxこまxディアボロその他回転おもちゃの要素をまとめた道具、ボーダレスを使ってスピントップの2021年のオンラインコンテストにエントリーしました。

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インスタグラム#borderlessspin 数は少ないですが一通りの使い方が見れます。

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3分間という時間制限のある競技で、こまとヨーヨーを道具として比べたときの最大の欠点がひもを巻く時間がもったいない、ということがありました。こま遊びをする上では紐を巻く時間は投げて何をしようというワクワクする時間ですが、競技として人前で見せていく時に技と技の間に隙間の時間ができ、おしゃべりなどで場をつなぐことも時間の無駄なので演技中に紐を巻く姿は、見てる側からすると・・・な時間が生じてしまいます。

ヨーヨーのフォーマットを流用した3分間のフリースタイル競技においては、日本のこまの場合は、こまを用意してどんどん交換していくというスタイルが主流になっています。加点効率の面からも競技として進めていく上では得点が取りやすいスタイルになっています。スピントップ競技においては道具の交換は減点の対象にはなりません。こまのフリースタイルを見たことのない人もいるかと思い、2021年の谷くんのフリースタイルを例に挙げさせてもらいましたが技術レベルも高く、テンポもあって見ごたえのあるフリースタイルです。


トラディショナル部門の多くや、スピントップでも直径が10cmを超える大型の物を使うとリジェネレーションと呼ばれる動きで回転を得ることが容易になり、1つのこまでも3分間通して戦えるというスタイルもあります。ただ回転をかけるために技と技の間の時間が生じるという問題があります。オープン部門で多くのこまを交換していくスタイルと同じ土俵で戦うとトリック毎に加点するルールだと、得点が伸びずまた比較的同じ動作の繰り返しになりがちです。ただこれはこれで立派なスキルなのでスピントッププレイヤーの中では評価される技術とスタイルになっています。オープンとトラディショナルで部門が分かれている理由の一つだと思います。

スピントップはディアボロと異なり、左右のバランスが大きく違うため、常に歳差運動でこまの回転軸が固定されているポイントとなるひもや手のひらを中心に動いていくという特性があります。ディアボロは回転させたあとに何もしなくても回転が続きますが、スピントップやこまの場合、縦回転(ヨーヨーと同じ方向)させた場合は常に動くのでそれに対してカウンターの動きを与えて落ちないように姿勢を維持する動作が必要になり、足の下や体周りの動きの場合、ディアボロだと簡単な技でもスピントップで行うと、見た目以上に難しい技術となります。

そもそもこの議論は3分間のヨーヨーと同じようなフリースタイル競技というフォーマットで特性の異なるスピントップとトロンポとこまを競わせるところからおきています。昔は3スローに分けて、1スロー目ベアリング、2スロー目固定軸、3スロー目自由のようなやり方で競っていた時期もありました。スピントップの技術を競うだけならそれぞれの要素を組み合わせた良いやり方ですがコロンビアのような木を削り出した伝統的なトロンポとアメリカのスピントップを競うにはそもそもベアリングこまを使わない国が参加できなくなるので使われなくなり3分間でこまの使用数制限なしというルールに落ち着きました。(そもそも同じ土俵で戦えるのかという議論は置いておいて)

私自身は1つのルールでこのような異種格闘技が行われているだけで奇跡だと思っているのでどこかの国の独楽に配慮したルールはなくて良いと思っています。いまのルールの中でそれぞれのスピントップやこまでできることをしていけばいいとは思っています。真剣に優勝を狙っていく人には道具のスタイルによって有利不利が発生し、歯がゆい部分もあるかと思いますが競技として成熟していく過程には必要なカオスです。

いつかどこかでどの方向に発展させていくべきかという議論の中で理想とされるスタイルを評価するルールに変化してくのかとは思います。ヨーヨーのように部門を細分化して求められる技術要素を定義付け、評価を定めやすくするのも一つのやり方です。参加者が少ない中でそれをやると部門として成立しなくなるのでこまはまだその段階には来ていないということだと思います。現在のこまの世界大会は大会と言いつつフェスティバル的な側面も強く参加することに意義があるという黎明期特有のおおらかな雰囲気があり好きです。

それぞれの国のこまのスタイルで優勝者を決めることは容易です。あえて”世界大会”となっているのでヨーヨーのように画一化されたヨーヨーの画一化されたスタイルではない、各国の伝統的な要素も色濃く残しているスピントップ同士で戦うの世界大会も味があって好きです。

競技も先鋭化すると勝ち負けが価値観の全てになって勝ち負けに反映しないことはすべて無駄なこととして削ぎ落とされていく可能性もあります。それはそれで1つの発展の方向ですがスピントップはまだそのステージではないのとその方向にはどうやらならなさそうです。

ヨーヨーとこまの要素をかけ合わせたボーダレスは使い方次第ではお互いのメリットだけを組み合わせて欠点を補完することができる使い方ができると考えています。3つの軸を使い分けることでヨーヨーとこまの両方の技をシームレスに繋げていくことが可能になります。

それを踏まえて3分間のフリースタイル構成を作ってみました。

背景(言い訳):土日朝から晩まで撮影をしている中で”構成通り”ではなかったのですが一番ミスの少ないものを提出しています。気が抜けたタイミングでほぼ演技をしていない回が技の成功率は良かったので表情やこまの投げる向き、立ち振舞は疲れてるなぁ、という感じなってしまっています。オンラインの大会の映像は終わりがない戦いになるのでどこかで見切らないといけないディレンマもあります。それでもオフラインの大会では1度ミスをすると終わりなのである程度納得の行く作品に仕上げることができるのは従来の大会とは大きな違いです。

自分の演技の解説をしていきます。先頭の数字は秒数なのでウィンドウを2つに分けて動画と見比べながら見ても良いかもしれません。

0:00 ワインダーから縦起こしして巻き取り 

紐を絡ませて手で回転をかけて巻き取ります。それを解いて勢いをつけて回転をつけています。動画ではかける時に1度目は空振り(失敗)をして2度目でかかってます。

1度手に乗せてこまの動きを見せたあとにヨーヨー溝に紐をかけ、巻き取ります。巻取りを1度でするとこの回転方向の場合、左回転の巻取りになり、通常のこま技ではない”裏”の技になるので一度手で止めて右回転になるようにしています。巻取り自体はヨーヨーで慣れた動きですがはじめてやると先端で引っかからずに飛んでいくことが多いかと思います。またひもを余らせすぎると絡まる要因になるのでそれなりに技術要素が必要な巻き取り方ではあります。

この出だしの技が全体を通して一番難しく、何回もやり直す部分となりました。

0:16 R:つなわたりからのハヤブサ返し

先頭にRをつけているのは右回転、右利きの人のこま回しのスタイルと同じ回転方向です。体に染み付いた回転方向なのでこまの立て直しや各種技は右回転の時に集中させるようにしています。”表”の動作。ヨーヨーでもハーフカラーの組み合わせで使うとわかるのですが巻取りのタイミングで、回転方向が変わっていることがおきていますが左右が同じ形状なのでき

技としては普通にこまの技。ハヤブサ返しをしています。そこからのメリーゴーランド。練習をする過程で回転力に余裕があったのと当初の構成よりも間のムダがどんどん省かれていった結果時間が余ることがわかったのでリフティングをいれるようになりました

0:29 L:エレベーター

左回転技。右回転のこまをそのまま巻き取ると逆回転になる方向で巻き戻ってきます。なのでボーダレスのフリースタイルで無駄な動作となる間の投げ直しをしないで連続して技をしていこうとすると、基本RとLを交互に繰り返す構成になります。Lはこまの通常投げ慣れいる回転とは逆方向(右利き、内投げの人の方向)なので通常のこま技もできますが、立て直しが逆になり混乱するため構成に入れていません。

ここではヨーヨー投げからのエレベーターをしています。こまでもある動きですがディアボロ的な動きになります。35秒の当たりで固定軸部分にかかっていた紐をヨーヨー部分に載せ替えます。ヨーヨーの投げ出しの位置と、エレベーターが終わったあとの歳差運動で変化した角度を踏まえて見えやすい位置でヨーヨー溝にかけていくようにコントロールしています。

そこからボヨンボヨンという上下に跳ねるヨーヨーの動きをヨーヨー溝を使って行います。こま軸でボヨンボヨンをすると歳差運動がおきるので方向が毎回変わっていくので大変です。このボヨンボヨンをボーダレスで行った場合、こま大会で評価を受けるのかは未知数です。スピントップや通常のこまで行う場合はポイントが付きます。

0:40 R:コークスクリュー(両手蛇)

両手蛇ですが2の2でやってます。紐の長さの関係もあります。左手に巻きつけるやり方は海外のプレイヤーの動きを参考にしました。また左手の最後は1往復追加してます。

0:57 L:トップオン

”裏”パートはカップの内側の部分を指先で受け取り、こまを回すというベアリングに頼らない純粋に技術の動きになっています。軸の先端を使うわけではないのでこまの砂時計とは技術体系が異なるこまの裏回しです。それを巻き取ります。1:00巻き取る時に腕にかけて紐の長さを調整すると空中に紐を跳ね上げて取るよりも確実で、かつ欲しい長さで安定して持てることがわかりました。紐さばきがシュルシュルと無駄なく決まるとやっていて気持ちいいです。

1:04 R:トルネードからのリジェネレーションの動き

ちょんかけの動きでトルネードという技があります。紐を回して背中の後ろに回していく動きです。そこからちょんかけごまの動きをしていきます。構成上はここでスピントップのリジェネレーションに当たる動きをいくつか入れたかったのですがこの回は飛ばしています。こちらでも同様のやり方で巻き取っています。表と裏と両方でこま的な動きからきちんと巻き取るのはコダワリとして入れました。

1:29 L:チョップスティックから90度回してムチ

裏パート、ヨーヨー投げから受け取ったあと、人差し指と親指の間に張った糸の上にこま軸を乗せていきます(1:30)。ヨーヨーではチョップスティック(箸)と言われる動きです。歳差運動で一気に方向が変わります。そしてそれをムチでこま軸にかけます。ヨーヨー溝にかけると普通のヨーヨー技として評価されかねないのでヨーヨー溝とこま軸は使い分けています。その後跳ね上げてヨーヨー溝とこま軸両方に乗せる動きをします。これはコロンビアのプレイヤーがよくやる動きで軸先と頭の軸の両方に乗せると歳差が生じず、ディアボロやヨーヨーのように姿勢をその場に止めることができます。

1:38 R:オフスト空中キャッチから足の下通し

ヨーヨー溝で受け取って股下を通してこま軸で拾います。こま軸で拾ってこの勢いで振り回すとこまの向きが変わるので向きが変わらないヨーヨー溝で拾うのは実は隠れたポイントです。ヨーヨー溝からヨーヨー溝で披露と姿勢は安定しますがこま大会での評価にならない可能性があるのであえてこま軸にかけています。そこからは回転力の残りを見て何かしらの要素を付け足します(この場合はかまいたち)。本来はヨーヨー溝とこま軸両方のかまいたちを見せて違いについて考えてもらうという構成でしたがアドリブで削っています。

1:55 L:オフストリングプレイ(足の下、腰の後ろ)

普通にヨーヨーのオフストリングですが一箇所だけ(2:00)こま軸を使って腰の後ろに行く前に、方向転換をしています。このパートは休憩パート。点を取る取らないではなくRLを繰り返していく構成のための流れです。

2:10 R:蟷螂拳

蛇の降りる動きと登る動きを繰り返します。このときは3回ですが理屈的には回転止まるまで振り回し続けられるのでもう少し回数は増やせそうです。動画を見る前に技の動きのイメージだけで螳螂拳と名付けましたが思ったよりは蟷螂っぽくないので足も入れて技だけ別撮りしたいと思いました。

やりたかった技は以上です。

本来はココで3分間だったのですが、練習を重ねてどんどん間の時間がなくなっていったのといくつかのミスが重なり構成が短くなったために、2日間を通じてほぼパーフェクトで来て構成が無くなりここでやめるか続けるかという判断で最後にひもをバラバラさせるのはやりたいと決めていたので30秒間のつなぎが始まります。無構成なので一度無駄な投げ直しをしてLをスキップしてRにしています。また技かぶりのリフティングで落としたあとに拾って手のひらの上で戻すときも余らせた紐が長すぎてコントロールできずに1度絡まるというこのブロックはだめなことのオンパレードです。ただ競技としてみた場合、時間の無駄以外に減点になる要素は落としたところ以外はないのかな?とは思っています。

ヨーヨー技で、指先でヨーヨーを水平に回して紐を螺旋状にバラバラとさせるDNA

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と呼ばれる技があります。TikTokでバズるのでヨーヨーTikTokerには重宝される技です。なぜこれがバズるかはわからないですが動画コンテストだったのでこまでもバズる動きをしておけばいいだろうというメッセージです。こまだと線香花火やスピントップのヘリコプターの動きですね。

最後、手の中に戻して終わるのはコダワリでそれが成功してよかったです。またすぐ次に投げれる状態で演技を終わるというのが一つやりたいことでした。時間いっぱい1つの道具でフリースタイルを終わるというのは自分のルーティンでは、もしかするとはじめてかもしれません。