こまの世界大会がオンラインになり、今週参加者たちが一斉に動画を公開しています。動画リンクはリストになっていて他の日本人プレイヤー達も見れます。
以前こちらでも紹介をした80歳のちょんかけ独楽名人、坂下桃太郎さんも最高年齢プレイヤーとして参加されています。今回の独楽大会、エントリー者97名で下は7歳、上は80歳で各世代にプレイヤーがいて80歳は最高年齢ですが、70歳以上もゴロゴロいるという充実っぷり。ちょんかけごまは直径13cm前後、250g前後の重たいこまを回し続けるハードな運動です。木製のこまのみをつかうトラディショナル部門と、自由なオープン部門の2部門のフリースタイル開催となっています。またあわせてラダーも行われます。
2016年のスピントップ世界チャンピオン、クリスネフも参戦。その他参加者のリストはこちら
フランスの4Aチャンピオン、クインティンも参加してます。彼はジャグラーとしても数々のスキルを持っていて、現地のスピントップのコミュニティーにも出入りしています。いろいろなジャンルの刺激を受けているからこその彼の独創的なヨーヨーパフォーマンスにつながっているのだと思います。
今回は22カ国、100名に近いエントリーがあり、パネルジャッジが決勝進出者を選定し、決勝は以前ヨーヨーでも行われたことがあるラウンドロビンジャッジ方式でチャンピオンを決めていきます。エントリーを見てもらえればわかりますが今回は日本を除き、10代の選手はほとんどいなく、大人たちの大会になっています。これはITSA(International To Spinner Association )経由での呼びかけで各国の若手プレイヤーに声が届いていないという可能性もありますが、逆の見方をすると大人でもこれだけの人たちがこまに興じて、大会に出よう、というモチベーションがあるということにもなります。
ヨーヨーの世界は、特に日本の場合はコカコーラやスケバン刑事でヨーヨーを始めた人がずっとヨーヨーの練習を続けているというケースは稀で、0ではないですが、97年以降に始まったと言える日本の”ヨーヨー界”にほぼ大人がいない状態でスタートしています。(ここで言う大人とは政治力や経済力を有して趣味の普及や業界に影響を与えることのできる人たちのこと。大人がいないわけではなくて、ヨーヨー界黎明期から多くの大人の人達に見守られてヨーヨー界はスタートしています。)。こまやけん玉など他の業界を見るにつれて、大人の経験と資産を遊びの普及に使えている状態が羨ましいと思っていました。気がついたら自分がその年になっています。自分の社会的地位と作ってきた人間関係を総動員してスキルトイを世の中に広め残していく活動を引き続きしていければと思います。
話がそれましたが、スキルトイを一生遊ぶ、ということについてヨーヨー界ではアメリカにいるヨーヨーマスターたちと一部のプレイヤーを除くとなかなか見る機会がありませんでした。日本のちょんかけこまの世界は50、60代でも若手といえるくらいで、70過ぎても皆さん現役です。むしろ60からの老後の楽しみとしての”復帰組”がほとんどです。80歳なのに頑張っている、という視点ではなく、年をとって体が自在に動かないことをデメリットにせず、経験で補い、若手と交流して最新の技を取り入れていたり、他の人ができないまさに名人芸をちょくちょく挟み込んでいたりと見直せば見直すほど深みのある演技です。桃太郎さんの場合、出だしの回転の付け方が他のどのプレイヤーもやってない難しいやり方で始めています。また途中で意図的に止めて投げ上げて回転させるというディアボロでは当たり前ですが片輪のちょんかけだと高度な動きもしています。ラスト15秒間の詰め込みも若手顔負けの動きです。前半戦はあえてゆっくりやっているのかもしれません。
こまとヨーヨーはRPMが一桁違うくらいこまの回転が弱く、特に固定軸のリジェネは回転をつけるまでの動作と回転をつけたあとも無理に振り回すとこまが倒れてしまうため、”回転に逆らわず受け流しこま、ひも、体の挙動が一体となる”感覚が必要になるスキルトイです。ヨーヨーマスターたちを始め、多くの大人のヨーヨープレイヤーがスピントップの魅力にはまっていくところは繊細な回転をコントロールする楽しみを見つけたからだと思っています。
日本のこまの人たちはフリースタイルという文化がなかったのでほとんどの人が今回のコロナ禍で大会がオンライン化したことではじめてのチャレンジとなりました。人によって初めてビデオで撮影した人もいます。
競技として普及したヨーヨーと比べるとちょんかけこまは目標が不明確、というか健康つくりだったり、近所のグループで学ぶ、というようなところでモチベーションの保ち方がそれぞれだったのですが、一生続ける趣味としては皆さん続けていることを改めて可視化できてオンライン大会を開催してよかったことの一つだったと思います。
ヨーヨーを初めて数年は夢中で、10年目くらいまでは競技に燃えて、それを超えてもずっと続ける人たちはヨーヨーを”やめる”という感覚はないと思います(お休みするとか人生の岐路に立ってちょっと離れるはあるかもですが)。
こまの世界の先達たちの演技を見て、自分がこの年になったらヨーヨーとの関わりの持ち方や、どうなってるかを考えてみるのもよいのかなと思いました。大会の結果は10月31日オンラインで発表される予定です。
言いたいことがうまく文章化できてないのですが、極端な例でいうといままでこまやけん玉と一緒に火葬されたり、お墓に一緒に入ったり、墓石がその形で一生遊んだ人、というのはいるけれどもヨーヨーで大人になって尚遊び、老年期を迎えても趣味の一つとして全うしてきた人はあまりいなくて今回のハイパー世代が初めての”世代”になるのかなぁと思っています。20代、30代、40代、、、各世代でヨーヨーとの関わり方は確実に変わっていきます。どうやって歳を取るか、人生設計をしていくかの中に単なる趣味としては扱えないヨーヨーというコアをどう位置づけていくか、そんな考えを持つきっかけになってくれればと思います。