スピンマスターX発売直前!スピンマスター1,2,3徹底解剖!

10月5日発売間近のスピンマスターXですが、Xのレビューはさておいて、まずは元となった伝説的3機種の振り返りから行きたいと思います。


スピンマスター 2001年頃発売

バタフライ形状というよりはヨメガのステルス形状、ハイパーワープウィングにリムをつけたような形状。当時、1Aプレイヤーに人気の機種の一つでした。チームヨメガだったマークモンゴメリーはハイパーワープウィングにタイガースネークのリムを接着剤でつけたスローモンキーのような機種を作って大会に出ていたりもしました。エッジが高く、幅もそこまで広くない。ループをすることもあった当時のスタイルの中では今のような幅広い機種はホイールズのベアリング化から始まったフリーハンドが出るまでは珍しかったです。もちろんローエッジ、という概念もありませんでした。真鍮のリムが回転力を生み出すので安定感は非常にありましたが反面、スピードを出していくというよりはスーパースピンファクターの内リム版のイメージと言う方に近いフィーリングです。

1のときはまだヨーヨー再開してなかったからあんまりよくわからないんですが2があるんだから1もあるんだろうと言うくらいの認識で。
実物見たのはスピンギアに入ってからかもしれません。次のスピンマスターIIならヨーヨー復帰後の人気機種だったのでよく覚えてますね。


スピンマスターII  2002年10月頃発売

ということで2です。
ナイトムーブズ、ショックウエーブ2、スピンマスター2がほぼ同時期の発売で、ワイドなストレートバタフライで一斉を風靡した新時代のヨーヨーたちでした。
ナイトムーブズはステンレスリムと完成度でバランスの良い性能でしたが、スピンマスターはアルミリムでスピーディーに動かしやすいフィーリングです。
でもガチで回すとショックウエーブよりもスリープ力があった気がします(おぼろげな記憶)。この時期のたくさんのプレイヤーから愛されたヨーヨーの一つでした

人気プレイヤーのシグネチャーを使いたくなる、というヨーヨージャム黄金期のマーケティングスタイルにピッタリとハマっていたプレイヤーと機種でした。

乱暴な言い方で振り返りますが当時はプレイヤーの間にもリムがついていればよく回るというイメージだけで真鍮リムとアルミリムの特性の違い(比重の違いではなく、もたらすパフォーマンスの違い)を全員が、正しく理解してデザインに落とし込むということをしていなかった時期なのでデザイナーでもあるオーナーのデール氏がスタンダードなナイトムーブズをベースに、回転力を損なわないようにしつつ、”動かしやすく””スピードを出す”というブレントのスタイルに合った機種を作るという素晴らしい連携の賜物と振り返ることができます。スピンマスター1からのフィードバックをきちんと反映できている機種です。


スピンマスターIII 2003年8月発売

スピンマスター3は実はかなりあとで入手したのでそこまで深い記憶は無いんです。あと日本に入ってきた個数がかなり少ないと思う。
理由の一つに同時期のヒット作 ヒットマンの陰に埋もれてしまった感じがあります。でも基本性能の高かったスピンマスター2をベースに両面Oリングレスポンスと正統進化になっていて、2003年のジョニーの優勝がなかったらもう少し注目されていたかも。
あとはブレント デリンジャー本人がスピンマスター2を愛用し続けたせいもあって世代交代が進まなかったってのもあるかもしれないね。
あと今だからいえるけどリムの接合が弱く経年劣化でリムがとれてしまうケースも多く、いまでは2も3もプレイ出来る個体はほとんど残っていないんじゃないかな・・・

タラレバはないのだけど時代が進んでいて、Oリングではなくてパッドレスポンスが標準化していたらこの機種の評価も変わっていたと思います。やはり本体から飛び出てたOリングでは摩擦があり過ぎでバインドで確実に戻るかもしれませんが、スピードプレイをする人たちからは敬遠されてしまうレスポンスシステムです。両面Oリングが嫌だ!という苦肉の策?でハーフスター(片面Oリング、片面スターバースト)というレスポンスも長きにわたり多くの機種に採用されていました。

そして我ながらいいことを言ったとこの文章を書いていてはたと思いました。

そうなんです。

もしスピンマスターが適正なパッド、ギャップ、セパレーターを使っていてなおかつリムが取れなかったら時代をとっていた機種になっていたかもしれない?

あと時代に合わせて少しエッジ低かったり、回転精度がもう少しだけ良ければ、、、

そんな夢をタラレバで終わらせずに実現したのがスピンマスターXと言えるかもしれません。

後半に、ソリッドスピンでパッドを採用したバリバリにアップデートされたスピンマスター4が出ていたならばきっと今回のXに近いコンセプトになっていたと思います。

懐古主義に陥るのは好きではないのですがやはり金リムは最高で未だに戦える機種が作れると思うわけです。ポリカーボネート削り出しのリム機種がちょっとしたトレンドになっていますが、回転力重視でステンレスリムのものが多い中、アルミニウムのリムのフィーリングを全面に押し出したスピンマスターは回転力が正義で使いやすさではないということを改めて気が付かせてくれるプラスティック機種でもあります。

あえて苦言を呈するとすればプラキャップがハマる仕様は欲しかったなぁと。


全く関係ないですが、ブレント家は一家でプロスポーツの選手をやっていて、兄弟も何かしらのプロ選手だったと記憶しています。ヨーヨーへの理解もあり、家庭のサポートもしっかりしていました。また金銭面では、学校やパーティーでのヨーヨーショーを行い、その稼ぎで自分の車を手に入れるなど、ヨーヨープロとしてもきちんと活動していたのが印象的でした。大会などには参加していませんが、いまでも時々ヨーヨーショーはしているようです。

iYoYoもそうですが、ヨーヨージャムの”血”を引き継ぐヨーヨージャムチルドレンとも言うべき人たちが未だにヨーヨー界で活躍して、さらに発展させていこうというのはヨーヨージャム創業者のデールベルとしても嬉しいのではないかと思います。ヨーヨージャムが近代ヨーヨーの発展に与えた影響は計り知れなく、そのレガシーを語り継ぎ、発展、活用していくのはとても大切なことだと思います。


スピンマスター1/2/3の写真提供(及び発売時期情報)はスピンギアにも入荷の今月発売予定のヨーヨージャムのコレクションを網羅した企画も掲載されているストーリーブック(とオフストリングヨーヨーのおまけ付き)を用意しているシュトルム・パンツァー様の提供でお送りしました。

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400回の落下テストにも耐えたおまけのヨーヨー(クリックで拡大すると傷だらけなのがわかります。

気になる挿絵!ストーリーにも注目!