ボルテクスの一般流通版。ヨーヨー本体はMade in 八王子で変わらず、ベアリングとスペーサーは中国製(ゴールドカラーアルマイト)となります。ルーピングプレイのやりやすさには変化はありません。
■ボルテクスとは?
国産ヨーヨーブランドとして活動していたヨーヨージョーカーから発売されていた国産のルーピング機種。
独自のメタルスペーサー機構を採用しており、剛性が高く初心者から競技者まで人気がありました。
ボルテクスならではの剛性感を生み出しているのがこのスペーサー。(今回のバージョンは金色のスペーサーとなります)
一般的なルーピングヨーヨーのスペーサーが皿型の形状なのに対しボルテクスのスペーサーは、ボディーに埋め込まれる形になっており、接合面積が広く確保されているため、かっちりとした剛性感の高いヨーヨーとなっています。
量産型2A機種にありがちなハの字問題を解決して精度が格段に向上するという結果になりました。左右のボディが平行なヨーヨーというのは当たり前のようでいて、プラスティック機種だと個体差が存在してしまい、ループの感触に影響を与えていました。
ポリエステル100%のストリングを使用前提でループ専用にスペーサーのサイズを確定させていて、スペーサーの交換や、複雑な調整をすることなくすぐに使え、使用感が非常に安定している為、パフォーマーにも人気があったモデルです。
■コントロールエッジ
また、コントロールエッジの高さに特徴があり、ルーピングの軌道がヨーヨーの形状自体で安定するという初心者がループの感覚をマスターする上で最適解と言える機種で2015年当時、ライトな2A人口を増やすきっかけになった機種でもありました。
コントロールエッジとは、ルーピングヨーヨーの緑の部分のこと。
この部分が丸いほど"コントロールエッジが低い"、角ばっているほど"コントロールエッジが高い"と呼ばれます。どちらが良いとか悪いというわけではありませんが、コントロールエッジが高い方がその名の通り、ループのコントロールがしやすくなり、オーソドックスなルーピングトリックはやりやすくなります。
ところが超上級者になると、エッジが丸くないとやりづらい技があります。コントロールエッジで軌道が定まりすぎると自由に切り返したり方向を変えるときに引っかかる感覚になる場合があります。2Aプレイヤーの多くが丸みのある形状のヨーヨーでループをマスターしているため、”コントロールする技術”を自然に身につけていますが初中級者はコントロールに意識を払わないとループ軌道が安定しないため、一般的な競技用2Aのヨーヨーで練習するのは一定のハードルがあります。(最終的には身につけていかないといけない技術ですが)
この写真では大差ないように見えますが(スターバーストとの比較)、数あるルーピングヨーヨーの中でもボルテクスはかなりエッジが高い部類となっています。
ボルテクスを使うことで、エッジに導かれ綺麗なループ軌道を簡単にマスターすることができます。
コントロールエッジはデールオリバーが提唱し、自身がデモンストレーターを務めていたプロヨーの不満点を改良するべくターミネーターテクニックを作ったときに意図して採用された形状です。以降、2Aヨーヨー設計のポイントの1つとして認識されるようになりました。
■高いレベルの射出成形技術
プラスチックヨーヨーとしては珍しい国内生産品。今では当たり前となりましたがゲート位置を見えない位置に持ってくることで凹凸のない非常に綺麗な仕上がりになっています。また中心から均等に圧をかけていくことで重量のバランスも良く仕上がります。
キャップサイズの個体差が少なく接着をしなくてもピッタリはまるので、ルーピングヨーヨーの不快要素である”パコリ”が抑えられ、ソリッド感のあるフィーリングを実現しています。高いレベルの射出技術で、プラスティックヨーヨーでありながら玩具レベルを超えた精度を追求することができる手法で作られています。
■2023年版について
時期的にボルテクスが口火を切ったとも言える、各ブランドからの2A機種開発競争ですが、その多くが丸みを帯びた形状で、ボルテクスのようなコントロールエッジがしっかりしていて調整不要の機種が市場から消えてしまいました。デッドストックの販売時もずっと継続販売してほしい、という声もあり金型が使える状態で保存されていたため、継続販売の方向を模索していました。
また当時は国産、というだけでどこで製造されているかは告知されていなかったのですが、実は、株式会社そろはむが本拠地を置く、八王子の工場での製造ということもあり、Made in 八王子のヨーヨーとして継続的に販売をしていき、八王子市内でのヨーヨー普及のきっかけにしていきたいという思いもあります。この度、スピンギアがヨーヨージョーカーから販売の許諾をいただき、発売再開となりました。