前回のブログ記事に引き続き、At Design LabのMoNoの特集です。今回は特別に、オーナー様から開発秘話をご紹介頂きました。
At Design Lab
MoNo
Diameter(直径): 54.5 mm
Width(横幅): 42 mm
Weight(重量): 65.7 grams
Price(価格): 99 USD (SGでは12,900円)
MoNoシリーズはAt Design Labのファーストコレクション、「コレクションからセレクションへ」というコンセプトで、「違いを楽しむ」というヨーヨーの新しい楽しみ方を提案しています。54mmのMoNoは、シリーズにおけるMサイズで、スタンダードとなるモデルです。ブランドの最初のヨーヨーとして、半年以上の時間をかけて開発をされました。MoNoシリーズの設計思想に基づき、CLYW ピークをベースに、ヨーヨージャム ヒットマンの重量配分を参考にデザインされています。
MoNoシリーズの設計思想は、下記の3つの要素を掛け合わせることにより、思い通りに動くのに、安定してよく回り、モノメタルヨーヨーの設計におけるトレードオフを見事に解消しています。
①動かしやすい、ハイウォールなシェイプデザイン
②ストリングヒット時の摩擦を最小化する、シャープなエッジデザイン
③慣性モーメントを回転方向だけでなく、傾き方向にも最大化させたリムデザイン
3Dプリンターでのフォルムの確認
54mmの設計にあたり、①シェイプと②エッジのデザインを検証するために、3Dプリンターと既存のヨーヨーパーツを流用し、プロトタイプを作製しました。本番環境の重量配分は再現できないものの、今回のようにフェイスやエッジデザインを試すには最適です。動かしやすさ、そしてエッジ起因のスリープロスが少ないことを十分に確認できました。しかし、出来心から Fool’s Gold と刻印を打ったことが災いをしたのか、軽微なブレがどうしても生じてしまうというエピソードも生まれました。
Diameter(直径): 54 mm
Width(横幅): 42 mm
Weight(重量): —- grams
3Dプリンターでの形状最終確認
このシェイプデザインに肉を盛り付けていき、最終的にMoNoのデザインが出来上がりました。アルミニウムの削り出しの前に、全体の形状を確認するために、3Dプリンターで出力をしたのがこちらのモデルです。大きく内側に張り出したリム形状が印象的です。
ファーストプロトタイプ(シルバー/スペースグレイ)
アルミニウムの削り出しで作製したのが、こちらのファーストプロトタイプです。ここでは設計だけを評価するために、Smooth Ultimatte Coatingは施していません。狙い通り、思い通りに動かせるのに、安定してよく回るというコンセプトが実現していました。一方で、目指している使用感を大幅に超えた、ピーキーなヨーヨーでもありました。実は、ヨーヨーの性能としては、このファーストプロトタイプが最も高いとも言えます。ここからSmooth Ultimatte Coatingの開発と共に、柔らかい振り心地になるよう細かな調整が始まりました。
Diameter(直径): 54.5 mm
Width(横幅): 42 mm
Weight(重量): 66.2 grams
セカンドプロトタイプ(シルバー)
ファーストプロトタイプから重量を0.5g軽くし、Smooth Ultimatte Coatingを施した最初のモデルです。まずは、両シルバーカラーでプロトタイプを作成しました。Smooth Ultimatte Coatingは、Anti-yo EetsitやBapezilla 2のような特殊マット仕様のコーティングです。これにより、高いヨーヨーの基本性能を維持したまま、柔らかい振り心地を出すことに成功しました。写真のヨーヨーは3-4ヶ月程度使い込んだものですが、使い込むことでコーティングが馴染み、非常に心地よい触り心地へと変化しています。満を期して、製造へと踏み出しました。
Diameter(直径): 54.5 mm
Width(横幅): 42 mm
Weight(重量): 65.7 grams
製品版(シルバー/スペースグレイ)
長い開発期間を経たにも関わらず、グローバルで100個限定という非常に贅沢なヨーヨーとなりました。製品版はシルバー/スペースグレイの無機質なハーフカラーで仕上げました。公式ストアで最初に発売したシルバー/スペースグレイ(薄め)は5分で売り切れ、海外のコレクターの数個買いは当たり前という人気でした。この度、プロトタイプの時点からご意見を頂いてきたスピンギア様で、少数ではありますが特別に販売をさせていただく運びとなりました。
Diameter(直径): 54.5 mm
Width(横幅): 42 mm
Weight(重量): 65.7 grams
最後に
我々は半年以上かけてMoNoを開発してきました。ふと、仕事終わりにヨーヨージャム ヒットマンとCLYW ピークを振ったとき、やはりMoNoはこれらのヨーヨーの足元にも及ばないということを改めて思い知らされました。もしMoNoを気に入って頂けましたら、ぜひヒットマンやピークを探して振ってみてください。気がつけば最初期のハイパーヨーヨーから約25年、歴史的な名作を振ったことがないのはおろか、知らない人がいるのは当然のこと。しかし、これらは忘れてはならない傑作であり、いつまでも語り継がれて欲しいヨーヨーです。我々が過去の名作のエッセンスを使って、新しいヨーヨーを開発をすることにより、その当時を思い出してもらえたり、その名作の存在を知ってもらえる機会となれば嬉しい限りです。何より、MoNoシリーズが10年後、20年後にも同じように語り継がれていれば、それ以上の幸せはありません。最後にもう一度、過去の名作達に敬意を表して。
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