ヨーヨーをしていて、いくつかの目標地点を設定している人は多いと思います。
目標にするトリックを出来るようになる。大会に出て決勝に行く、地区大会に勝つ、全国大会や世界大会で優勝する。など大会に向けてのスキルを磨いていく楽しみは比較的ルールもあり、道のりも見えている気がします。それとは別に世界中で多くのプレイヤーが憧れる(日本よりも海外にこの傾向は強いと感じています)、スポンサードプレイヤーのなり方は実は雲をつかむような話で、私もよく、○○のチームに入るにはどうしたらいいですか?という質問を受けることがあり、答えに窮する事があります。
実は世界大会で勝っている多くの人たちもそうなのですがチームに入るプレイヤーの多くは他の人には見えていない道が見えていて、その通りに行動して結果チーム入りを果たしています。今回は去年の世界大会から活動をスタートし、世界大会や全米大会でも旋風を巻き起こしているリセスに新しく所属したおにぎりこと森井くんにインタビューをしていきたいと思います。
所属おめでとうございます。
ありがとうございます。
(シンプルな返しだな、、、インタビュー大丈夫だろうか)。リセスってどんなブランドでどんなチームですか?
リセスは5AのUSナショナルチャンピオンのTyler Severance氏が2015年の世界大会から活動を始めたアメリカのブランドです。チームにはアジアチャンピオンのAhmad Kharisma選手、今年のUSナショナル3位のColin Beckford選手などが所属しており海外のトッププレイヤーがたくさんいるチームです。
そんなリセスに入りたいって思ったきっかけといつごろからですか?
自分が1Aを始めたきっかけがYoYoFactoryのsupernovaのPVだったので昔からTylerの大ファンだったのが一番のきっかけですね。
ちなみに自分が1Aを始めたときに買ったヨーヨーはsupernovaです(笑)
ヨーヨー自体は2010年に始めたのですが本格的な1Aは2012年に始めました。そのとき西八王子の店舗に行き、(当時はまだメンバーではない)リセスのチームメンバーのクシロケンタ君と知り合いました。
このこともあって去年の世界大会でJoyride、Weekendの両方とも即購入しました(笑)
スピンギアで働くまでにも紆余曲折ありましたよね?
ずっと興味があってシュンさんに色々話を聞いてもらったりしていました。声をかけていただいた時はとても嬉しかったです!!
実はおにぎりは一度”保留”になって、スピンギアでのアルバイト初応募から、実際に働き出すまでに1年以上空いています。当時のおにぎりはいい子なんだけど正直頼りなくて、スピンギアのスタッフはヨーヨーの上手さだけではなく、平日は1人で全部やらないといけないので店長のように行動することが求められるため、任せられないなぁと思っていました。おにぎりが一皮むけたらそのタイミングで声をかけようとずっと見守ってました。
ある時期を境に見た目も、目の輝きも変わってきた瞬間があって、そこからスピンギアスタッフとして働いてもらう方向に一気に行きました。もうそこには昔おにぎりと呼ばれていたおにぎりはいないという。(当時はおにぎりとあだ名を知らなくても100人中99人はおにぎり君と呼びたくなる感じでした)。むしろ今はおにぎりさん。です。
スピンギアのスタッフになるという目標を決めて実行していくという意味では多くの人が挫折しやすいダイエットという目標も達成していると思いますが、自分の中でなにかきっかけがあって変わってきましたか?また何が自分の中の成功体験で、リセスに所属するまで目的意識を明確にして行動をすることに力を与えたと思いますか?
ダイエットはステージ上でヨーヨーをやるときに少しでも見栄えがよくなりたかったのと社会人になったらやせる時間無いんだろうなぁという理由で始めました。
リセスのときは他のメンバーが大会で活躍しているのに対して自分はフリースタイルが苦手なだったため、自分にできることをしようとなりInstagramやYouTubeなどで少しずつアピールしていくことにしました。
見栄え、ってスポンサーチームにとっては実は重要な要素で、単純なルックスの場合もありますし、タイトルを含めての場合、トリックのスキルレベルなど、ブランドによって求める方向が違います。ただ意識払えてる人と払えてない人なら払えてる人のほうが絶対に目につきやすいです。多分動機の9割を締めているであろう”モテたい”という部分を隠してますが、それでもヨーヨーの見栄えのために痩せようと思い実行してしまうのはすごいことです。
ところで、自分でも大会で勝つプレイヤーではないけどヨーヨーの楽しさを広げていくことをしたいとおっしゃっていましたが、チームに入ることと、ヨーヨーのうまさについて思うところはありますか?
結構難しい質問ですね(笑
チームに入ることに関してはそのブランドによって求める選手のスタイルがマッチしているかやヨーヨーへの取り組み方が一番大きいのかもしれないです。
ヨーヨーの上手さについては、”ヨーヨーの上手さ”と”技の上手さは”イコールではないと自分は考えています。正直自分はヨーヨーが特別上手いわけではなく、割と苦手な技とかあったりして他の人の技を覚えたりするのが得意ではありません。
ヨーヨーの上手さについての考えはわかりました。ではこのインタビューの核心なのですが、どうしてチームに入ることが出来たと思いますか?決め手になる出来事があれば教えてください
特に決め手!!という出来事は無かったと思います。強いて言うならこの動画がアメリカのyoyonewsに取り上げられたのが一番大きかったのかもしれません。
あとチームメンバーの日本人2人ともともと、仲がよかったことや、アメリカメンバーのKeiran、Colin、インドネシアのKharismaと仲が良かったこともあり色々コンタクトを取ったりしていたことも大きかったのかもしれません。
無所属の個人がyoyonewsに乗るってなかなかです。ニュースをピックアップしてるスティーブを始めとするエディターたちの目に止まり、紹介する価値があるという映像を持ってこないとそこには載れないのである意味一つのオーディションかもしれません。
チームに入ることができそうだなというところから入る時待ったまでの経緯を教えてもらえますか?
実は気づいたら入っていることになってたんですよね笑
2015年の12月にKeiranにリセス入りたいんだよね~って話したらSoon!!と言われそこからSoonと言われ続けて~って感じです。そして7月にColinから発表2,3ヶ月後ねといきなり言われてチームに入りました。
他の人から見ると達成不能な目標達成した人の多くが自然な流れだった。という答えになってインタビュワーとしてはそこに至る苦労や奇跡的な何かを期待してしまうのですが、目標を立ててビジョンが見えてしまうとあとは実行するだけなので達成している人からするとあっさりとした説明にしかならないことが多いです。棚ぼた的に何かがふってくるということは世の中ほとんどなく、なるべくしてなったというパターンが多いです。ただヨーヨーを初めたきっかけから現メンバーたちとの知り合い方や、海外メンバーとも一度も海外に行ったことがないのに認知され、コンタクトを取り合う中になっているなど、多くのプレイヤーが出来ないことをあっさりとやってしまっているところがポイントです。流れを作り出すというところがポイントですね。空気感というか。余計に説明できないのですが。振り返るとそこには一本道があるという。
では、リセスに入ったことで今後、どんな活動をしていきたいですか?
これからもInstagramやYouTubeで色々な動画を発信してヨーヨーの面白さをたくさんの人に知ってもらえたらな~と思っています。あとずっと逃げていたフリースタイルの練習もしていきたいです(笑
チームに入りたいと思っているプレイヤーたちにアドバイスが有れば教えてください。
とりあえずヨーヨーを楽しむことを忘れずに自分の意思を曲げずに頑張ることが大事だと思います。そんな偉そうなこと言える立場でもないですが(苦笑)
インタビュー、ありがとうございます。大会に上位入賞してチームに入るという”定石”がある中で違う入り方をしている多くの個性的なプレイヤーが日本にもいます。大会で勝つ=ブランドが求めているプレイヤーではない場合もあるということで参考になったのではないでしょうか?ここに書いてある森井くんの意見は個人の感想で、チームに入ったからという上から目線というわけではなく、目標を定めて、それにむけて着実に行動し、結果にたどり着いた人が持つ言葉の重みがあると思います。
ヨーヨーの楽しみ方は様々です。この文章が、大会で勝つ以外にもヨーヨーとどう付き合うかという中での一助になれば幸いです。
参考までにスポンサードを受けるパターンの幾つかを紹介しておきます(わかりやすい順に書いているつもりです)
まずはブランドにユーザーとして自分の存在を認知されるところからのスタートです。そのために幾つか方法があります。
- 大会でそのブランドの機種で活躍して、できれば優勝しブランドから直接指名される
多くのプレイヤーが無意識にここを目指しているのかと思います。大会にでて得られるわかりやすいものが勝者の称号か、ブランドからの認知という2つの大きな”ご褒美”があります。(もちろんそれ以外もたくさんありますが)。
- ネットなどで行われるオーディションに参加し、その権利を勝ち取る
ルールがあってやり方がでてるのでわかりやすいですがあまり機会がありませんね
- 他のメンバーの推薦でオーナーに紹介してもらって所属を決める
実はよくあるパターンですが、推薦をもらうまでには様々な努力が必要で尚且つ持つ空気感がチームに合っていないとこのルートは取りにくいです。
- ショップなどの推薦でチームメンバーになる
日本から海外のチームに入る場合、英語がしゃべれないとこのパターンが多いです。ショップからの推薦はほぼ内定に近いのでヨーヨーを売るために存在するプロモーションチームという考えからするとヨーヨーの販売促進に役立つメンバーとして推薦されて所属するというのは一番自然な流れかもしれません。
- そのブランドの愛用者としてSNS等で有名になり、ブランドから認知され、動画配信などを積極的に行っていく
個人に相当の発信力とセルフプロデュース力が必要です。おにぎりもこのパターンに近いです。
- オーナーと友だちになり気にいってもらう
実はこのパターン多いですが参考になりません。
ルールのある大会に比べるとスポンサードメンバーのなり方は様々で、特に決まった道筋があるわけではありません。ただヨーヨーが欲しいという理由ではチームメンバーになることもなく、なれても不幸な結果が待っています。そのブランド、チームに対する”愛”がどれだけあるかというのが一番大事で、そこは方程式のない恋愛と同じなのかもしれません。恋愛のHowToと同じで人それぞれの個性に合わせての付き合い方があり、一律にルールがあってこうしたら攻略できるというようなゲームのような感覚では到達できません。
だからこそのヨーヨーの楽しみ方の一つで、どうやってチームに振り向いてもらって距離を縮めていくか、を友だちと考えていくのは楽しいですし、最初からそんなことは諦めて片思いのまま使っていくかという選択肢もあります。(そもそも全員がチームに入りたくてヨーヨーをしているわけではないので。)
いつか自分の使っているヨーヨーブランドと相思相愛になれれば一番よいですが、どこか一つのブランドに決めなくてもたくさんのヨーヨーブランドの中から選択肢のある”無所属”の状態も実は幸せな関係です(いわゆるお友達)。いつでも最新の使いやすい機種に乗り換えられる自由は楽しんでヨーヨーをしていく上では大切な要素です。
チームに属するということは喜びも多いですが、責任と縛りが発生してきます。使用ヨーヨーに制限が出て、無軌道な行動もしにくくなります。みんなのお手本になることを求められることが多くなります。
ブランドチームではなくても気の合う仲間と作るヨーヨーチームで自分のやりたいことが実現する場合はそちらを目指すほうが良いと思います。
真面目にヨーヨーをしている人たちを茶化すことが目的ではないですが、チーム所属までの道のりを恋愛ゲームに例えてフラグを立てて方をパターン化して、 チームを攻略していく、という解説をしたら面白そうと思いましたがそれはまた別の機会に。