※2個セットについては、冊子は1冊の付属となります。
予めご了承ください。
仕様・スペック
直径:いずれも約78mm
全幅:(SA)約65mm
重量:いずれも約105g(うちSAのステンレスリム32g)
形状:インバースラウンド
ボディー素材:POM(比重:約1.4)
リム素材:(SA)ステンレス(比重:約7.8)
ベアリング:(SA)サイズC曲面加工
レスポンス:スリムサイズ(交換品は他社製品をご利用下さい)
アクセル:(SA)太さM5専用アクセル
制式番号:(SA)RY-013S
発売年月:2018年10月
表紙イラスト アトリエ海百合
<セット内容>
◆シュトルム・パンツァー ストーリーブック13巻(A5版48ページ)
-巻末カラー特集「オールアバウト YoYoJam 2002-2003」
伝説のヨーヨーメーカー・ヨーヨージャム社のラインナップのうち、
大径ベアリング(サイズC)を初採用した
「パトリオット」「ブラックノヴァ」から、
「スペシャルエージェント」「フリーエージェント」まで、
全27機種+αをオールカラーで解説する永久保存版第2弾!
◆RY-013S NEWS/SA、またはRY-013F NEWS/FA
◆株式会社4個そろはむステッカー(4-ham Co.,Ltd. Sticker)
<対象年齢>
冊子・ヨーヨーともに15歳(高校生)以上推奨
<カラーバリエーション>
(SA)ホワイト
設計コンセプト・3rdプロトタイプまでの開発経緯
※6年間ヨーヨーを作り続けて一番苦労したヨーヨーなので、解説は今までで一番長いです。
「NEWS」はシュトルム・パンツァー初のオフストリングヨーヨーで、ソロハムやオービット系など、
回転の強さや安定感が要求されるオフストリングプレイに特化したヨーヨーです。「SA」と「FA」の2種があり、
大型ステンレスリムを最外周付近に配置したSAは、これまでの機種の中で最も開発に時間と費用を費やしました。
SAのステンレスリムは直径約70mmで、リムだけで既に普通のヨーヨーより圧倒的に大きいです。
SAの試作品は3rdプロトタイプまでが存在し、2ndプロトタイプについては同じ図面で3つの工場に発注し、
工場による仕上がりの違いをチェックするなど、試行錯誤を繰り返し製品版のSAに至ります。
落下の耐久テストと、2ndプロトタイプまでのインナーリムが没になった原因については後述しますが、
2ndプロトタイプまではインナーリムで試作していたところ、耐久性の向上と、
ステンレスリムを付ける意味を考え、最終的にはアウター寄りのミッドシップリムで完成しました。
レスポンスパッドが「スリムサイズ」となっており、従来のシュトルム・パンツァーのパッドは使用出来ません。
様々な他社製のレスポンスパッドから相性の良いものを見つけ出してください。
メーカー差・個体差を除き、レスポンスパッドの高さは基本的にレセスが維持されます(ツライチ未満)。
オフストリングヨーヨーとしては珍しいほどに非常にローエッジで、かつエッジは丸みを帯びていますので、
重量とレセスも加味してリターンが少し難しいかもしれませんが、逆にストリングの「抜け」はスムーズだと思います。
例によってヨーヨー力学第一人者の薄野氏が設計を担当していますが、“薄野氏らしい”エッジ形状をしています。
ストーリーブックの挿絵を担当している亜美寿真(つぐみ すずま)先生が最終14巻の作業に入り、
制作スケジュールが非常にタイトになる中、
『自分がNEWSを設計しておくから、あなたは早くストーリーブックを完成させなさい』と、
自ら設計役を買って出た薄野氏に改めて感謝の意を申し上げます。FAはSAのステンレスリム無し廉価版ですが、追加で厚型スペーサー2枚&薄型スペーサー2枚同梱されますので、
ギャップ幅は各自で調整してください。標準スペーサー2枚と合わせ計6パターンのギャップ調整が可能です。
スペックだけを見るとSA、FAとも非常に重いですが、実際に振ればそこまで過剰に重くは感じないと思います。
オフストリング未経験者には向きませんが、フォワードパスマウントが出来れば十分にお楽しみいただけるはずです。
ストーリーブック13巻のあらすじを併せてご覧いただきたいのですが、最終話である14巻を前にして今度の敵は
【4個のソロハムで青龍(せいりゅう)朱雀(すざく)玄武(げんぶ)白虎(びゃっこ)の『四聖獣』を召喚する】
という、
まるで2001年頃に流行って最近リバイバルしたコロコロ系ホビー玩具のような恐ろしい戦法を仕掛けてきます。そこで「4個のソロハムに適したヨーヨーとは何か」から、NEWS/SAのコンセプトは始まりました。
このヨーヨーがあれば4個のソロハムができる、あるいは3個のソロハムができるというものではなく、
そもそもNEWS/SAが4個のソロハムに適したヨーヨーなのかは正直に申して全く分かりません。しかし、
【いずれ誰かが、4個のソロハムを本番で成功させてくれるだろう】
という願いを込めて託すことが設計のコンセプトです。なおFAは基本的にはSAの廉価版という位置付けです。
四聖獣(正しくは四神・四霊)は東西南北を司るのですが、「東西南北」に該当する英単語が存在しないため、
「North」「East」「West」「South」のイニシャルを合わせて「NEWS」と表記しています。
ヨーヨージャムより2003年末に発売された「スペシャルエージェント(SA)」と「フリーエージェント(FA)」。
従来機「アクエリアス」の後継機として発売された2種ですが、いずれもウイングの耐久性が低く、
またリジェネレーション系トリックのやりにくさから早々と生産終了してしまったオフストリングヨーヨーです。
スペシャルエージェントの大型の真鍮リムによる安定感は、ソロハムに対して絶大な安定感がありました。
ソロハムの開発者であるスピンギアの長谷川貴彦(TAKA)氏も、2008年頃までスペシャルエージェントで
ソロハムを披露している姿が散見され、3個ソロハムへの挑戦企画でもスペシャルエージェントを使用していました。
その後スペシャルエージェントの後継機は登場せず(HGオフストリング試作機というサンプル品はあった)、
であるならばシュトルム・パンツァーがそのコンセプトを引き継ぐべきであると痛感しています。
なおフリーエージェントは単純にスペシャルエージェントの真鍮リムの無い廉価版としての意味合いが強いです。
逆にSA/FAのソロハム以外のオフストリング性能は、生産終了となったアクエリアスの再生産や、
全幅約68mmの「ビッグヨー」(正確にはビッグヨー2)の存在により、これといった評価はされていません。
スペシャルエージェント/フリーエージェント
アクエリアス/ビッグヨー2
その後、岩倉玲選手のシグネイチャーモデルであるヨーヨージャム「レクストリーム(3のみソロハム重視)」、
C3ヨーヨーデザイン「フローレス」など、ソロハム重視とされる重量級ヨーヨーがリリースされました。
ジャンルと時系列が異なりますがマイクロディアボロを応用したヘンリース「バイパーネオXL」も重量級です。
数字のキリのいいところで100グラムを超える重量級がソロハムに適しているとされる根拠は、
「重い方がディアボロの感覚に近いから」(≒ストリングのテンションが高くなるから)という意見を度々聞きます。
レクストリーム3/フローレス/バイパーネオXL
その一方で、2018年世界大会4A部門では三浦元選手が標準的重量のsOMEThING&JT「ジェットセットEG」を使用し、
ソロハムスタイルを取り入れて優勝しています。また重量だけでなく比較的にエッジが高めとなっていますが、
エッジが高いとスリープが減りやすくソロハムに向いていないのではないか、という素直な感覚も覆されました。
重くてローエッジがいいのか、標準的重量で高めのエッジがいいのか。
一体何がソロハムに有効な設計なのか、さっぱり分からなくなりましたが、
しかしシュトルム・パンツァーとしては、本来ヨーヨージャムが目指していたスペシャルエージェントのコンセプトを
昇華させることが正解であると確信し、NEWS/SAと廉価版NEWS/FAのリリースとなりました。
なおエッジ高さについては、YYF「フライトプロ」がかつてないほど極限までローエッジだったことに感銘を受け、
SAはフライトプロ同等のローエッジを再現し、なおかつエッジに丸みを帯びさせてます。
もちろんソロハムをしなくても、単純にオービット系等で安定感の高いヨーヨーとして使うことができます。
ジェットセットEG(+分解状態)/フライトプロ(+分解状態)
2018年現在、ステンレスリムの付いたPOM製オフストリングヨーヨーと聞けば、
JT「アルティメットイーグル」、sOMEThING&JT「ジェットセットEX」が代表的であり、
また同時にインナーのステンレスリムを想像するかと思います。
アルティメットイーグル/ジェットセットEX
しかしNEWS/SAは100グラム超えのソロハム重視ということで、それらの他社製品とは趣旨、方向性が異なります。
3rdプロトタイプからインナーリムの開発をやめ、限りなくアウターに近いミッドシップリムに変更しましたが、
『ソロハム重視機種において、ボディーの直径に対して径の小さいリムを付ける意味はあるのか?』という疑問。
2012年9月からずっとバイメタルを専門に作ってきたのでよく理解しているつもりですが、
狙った箇所に狙った程度の重量が配分されなければリムを付ける意味はありません。
回転性能(本項では慣性モーメントの意)を重視するソロハムにおいては、
安全面を考慮して完全なアウターリムにすることはできませんが、より外周に重量を配分する必要があり、
径の小さいインナーリムを付けるぐらいならば、外周のPOMの肉厚を増した方がよほど効果的だと思います。
(ただあまり重過ぎて外周寄り過ぎると、短いストリングでは必要な初速を得られない、という問題もあると思います。)
そこで1stプロトタイプと2ndプロトタイプはインナーリムではありますが、リムの直径は約62mmに設計しました。
これも普通のヨーヨーの直径よりも明らかに大きいです。逆に直径48mm程度の小さなリムならば、
むしろ付けない方が良いという考えです。しかし直径48mm程度の「キャップ」を付けた方が、
姿勢が安定するケースがあることは認識していました。
これは
「RY-007 YUKIKO」のコンセプトと同じなのですが、直径方向ではなく「幅方向」の重量配分が、
幅方向の外側に寄る方が、ヨーヨーの回転が強くなるわけではないが、傾きにくくなるためです。
(※幅方向の慣性モーメントの増大→幅方向に傾けるためにより大きな力が必要→結果、傾きにくい。)
これにより当初ソロハム重視機種のベースとして頭の中で想い描いていたものは、ヨーヨージャム版の
スペシャルエージェントでもレクストリームでもなく、ヨーヨージョーカー「サテライト」でした。
RY-007 YUKIKO(POMのカウルによる中空構造)/サテライト
直径方向の重量配分だけを考えると、内周部分がアルミボディーのサテライトは不利かのように思えますが、
幅方向の重量配分(回転ブレが起きない程度が前提)で考えると、サテライトの構造はソロハムに有効だと考えました。
そこで1stプロトタイプはあえて比重の小さいアルミリムを、サテライトを意識して内周に伸ばすように配置しました。
アルミリムにしたもう1つの理由は、リムにアルマイトをかけることでカラーバリエーションを増やそうとしたためです。
ただ回転性能、安定性が期待ほど高くなかったのと、衝撃の他に温度変化でもリムが外れてしまう問題がありました。
2ndプロトタイプはインナーリムですが回転性能を重視してステンレスリムに変更し、リム外れ防止の理論として、
(A)「リムの接合部分の面積を減らして圧入はキツめが良い理論」
(B)「リムの接合部分の面積を増やして圧入はやや緩めが良い理論」
という並立する理論のうち(B)を選択。3つの工場に同じ図面を提出し、各工場の解釈と工夫で作られました。
1stプロトタイプから通して、黒と緑(有色)と白は異なる3つの工場で作られており、
製品版SAは「白工場」、製品版FAは「緑(有色)工場」で作られています。
2ndプロトタイプで一番耐久性が高かったのは白工場のものですが、回転精度自体は緑工場の方が高かったです。
いずれにせよインナーリムの径をギリギリまで大きくしたことで、落下時の衝撃をもろに喰らってしまう結果となり、
カーペットの上でプレイするには最強の回転性能を持っていますが、コンクリートの地面の上では
数回~数十回のドロップでリムが外れました。白工場が一番マシでしたが自力でリムを付け直すことができず、
「外れやすいが誰でも自力で修復可能」ということを考えると緑工場が一番良かったのかもしれません。
破損した2ndプロトタイプのステンレスリム(直径約62mm)とビッグベン(直径約64mm)の比較。
リムだけで普通のヨーヨーより明らかに大きいですし、並のバイメタル以上にリムが重いです。
上述したアルティメットイーグルの場合、ステンレスリムがPOMのダブルリム部分に装着されており、
落下時に衝撃を最も受ける外周部から離れた位置にリムがあります。NEWS/SAも同様にすれば外れないのでしょうが、
それをするとリムが小さくなるか、明らかに回転ブレのリスクが高い位置に装着しなければなりません。
白工場と相談し3rdプロトタイプからミッドシップになり、また保険として廉価版のFAを緑工場に依頼しました。
3rdプロトタイプは硬い床の上で何度も落下させていると、リムが外れないまでも浮いてしまいました。
しかし見た目からして『キターッ!!』と言えるインパクトのある仕上がりで、バウンス性能も非常に高かったです。
100gオーバーのオフストリングヨーヨーでこんなにハネるなんて誰も想像できないぐらいにハネました。
3rdプロトタイプで基本形は完成となり、リム外れ防止対策が製品版で変更がかかっています。
ボディーとリムの境目の形状が変更されており、リムをより深くボディーに喰い込ませて固定させるために、
境目のボディーの肉厚を増す必要があり、製品版では境目に少々邪魔な段差が設けられました。
この点に関しては次回作を作ることがあれば改良したいと思いますが、NEWS/SAはこれにて完成とします。
落下の耐久テストについて
公園のコンクリートの地面の上で(屋根の下を選び必要以上のハイトス試験はしていません)、
フォワードパスマウント→高さ1.7m程度までトス→地面でバウンドさせて再マウント→キャッチします。
これだけ重いヨーヨーでもそれなりのバウンス性能があるため、毎回バウンドさせて再マウントしています。
体力の問題もあり毎回全力でスローしていませんが、ある程度回転をつけないとキレイにバウンドしないため、
あえてスローを弱くすることはしていません(一般的に回転が強い方が衝撃が強いとされる)。
400回実施してもリムが外れないため、製品として問題無いものと判断いたします。
ですが破損しないことを保証するものではありませんので、基本的にはやわらかい床の上での使用を推奨いたします。
参考:NEWS/SA開発にあたり参考にさせていただいた他社製品の紹介
開発経緯で何機種かの他社製品名を挙げさせていただきましたが、それ以外にも沢山の機種を実際に手に取った上で、
参考にさせていただきました。批判的な論評は一切していないのですが、基本的に実機を手にした上で文章を書いている、
ということを念の為にお伝えいたします。以下参考にしたメーカーと機種名。
ヨーヨージャム社オフストリング機種すべて/C3ヨーヨーデザイン社フローレス新旧、コントレイル/ヘンリース社バイパーネオXL/ JT社イーグルアイ、アルティメットイーグル、アナザーイーグルS、アイレジャパンエディション/sOMEThING&JT社ジェットセットEG/ YYF社フライトプロ、フライト/ヨーヨージョーカー社サテライト(プロト)/YYR社Cナイン、エアロナウト新型/ ダンカン社パンダモニウム、スカイホーク、ハヤブサ(MODスペーサー付)/ZEEKIO社サターンV 等。
機体解説・キャラクター紹介
正式名称不明のオフストリングヨーヨー。
石動桂の究極奥義「甦露覇武」(そろはむ)を繰り出すために存在する機体。
四神と呼ばれる「青龍」「朱雀」「玄武」「白虎」の四聖獣の魂を一時的に宿らせる
「器」(うつわ)の役割を果たすもので、どのような材質や構造で作られているのか
全くの謎である。少なくとも慈緒鴉朱佳の「凱龍閃」のように、
軍需産業マーシャルインダストリが開発した経緯はない。
石動が少年時代に過ごしたロシアの宗教施設にて入手した可能性が高く、
だとするとその宗教施設のスポンサーであった火渡産業にて開発されたのではないかと推測される。
石動 桂(いするぎ かつら)
27歳。ロシアの宗教施設にて少年時代を過ごす。
※設定はストーリー上のものです。
マンガイラスト 亜美寿真
取扱方法・免責事項
(SAについて)落下テストを実施した上で製品化していますが、基本的にやわらかい床の上での使用を推奨いたします。
落下テストの詳細はシュトルム・パンツァー公式サイトの製品情報を参照して下さい。
レスポンスパッドは「スリムサイズ」です。シュトルム・パンツァーの従来のレスポンスパッドは使用出来ません。
交換時は他社製品をお買い求めいただきますようお願いいたします。
またレスポンスパッドを含めた全てのパーツ交換および分解は自己責任にてお願いいたします。
回転ブレについて、一般的なオフストリングヨーヨーとして問題無いと判断した個体のみを出荷しています。
回転ブレの有無・程度はメーカー基準です。
製造・組立・出荷の過程で小さな傷、汚れ、色ムラ、加工跡等が発生する場合がありますが、製品仕様となります。
POM製ボディーに材料特有の斑点がある場合も、製品仕様となります。
「株式会社4個そろはむ」は架空の企業です。実在する企業とは一切関係ありません。
関連情報
スピンギアブログ タグ別アーカイブ「レクストリーム物語」(TAKA氏と岩倉氏のソロハム対談記事)
3 yoyos in 1 hand ~ 3ハム(仮称)成功までの道のり。(TAKA氏の3個ソロハム練習メモ)